正直、内向型は会話力が優れている
内向型に足りないのは突破口だけである
皆さんは、内向型の人間と外向型の人間、どちらが会話や対人関係が上手だと考えますか?
あなたが、どんな人と接するにも、どんな関係を目指すにも、以下の手順に適切なスキルやリテラシーを使い、パフォーマンスを放つことが重要です。
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1、相手の警戒心を外す
2、相手に共感する
3、自己開示を促す
4、自己拡大を促す
コミュニケーションの自信やスキルや経験を持ち合わせていない場合、まず、ステップ1の相手の警戒心を外すという点でつまずいてしまいます。
特に内向型の場合、気を使うことができても、なかなか行動に出すことを躊躇しがちです。自分が警戒心を強めることは、相手が自分への警戒心を強めることにもなります。
ですが、このステップ1を乗り越えることができれば、内向型はとても優れたコミュニケーターにれます。
内向型は他人の内側を見ることが得意
内向型は自意識について深く内省することができます。自分を俯瞰するということは、人間そのものの存在について俯瞰することで、それは他人を理解する力に直結します。
相手に共感することは、相手の内面に寄り添うことです。自己開示を促すことは、相手の内面を相手が心地よくなる形で引き出すことです。自己拡大を促すことは、相手の内面を踏まえたうえで、未来像や可能性を示唆することです。
自分の内側を見つめる思考や視点を、他人にも使いこなせるようになった時、内向型はとても会話が上手になっていきます。
外向的な人が社会で有利とされる理由
理由1:外向的な人は起点を作ることに長けているから
当たり前ですが、深い関係になる前には、浅い関係が必要です。浅瀬でうまくやりくりをした結果、深い場所へたどり着くことができます。
外向型の人は、この浅瀬の過ごし方が非常に上手です。出会って初期の段階で、相手と適当に過ごし、それなりに良い雰囲気にまとめるといったことが得意なわけです。
内向型は、相手独自の感覚や価値観を察知する能力に長けていますので、深い場所へ辿り着くことができれば、その性質を十分に発揮できるんですが、浅瀬で溺れる人が多いということです。
理由2:出会いの初期は、相手の本質を理解しなくても事足りるから
出会いの初期というのは、相手の本質をあまり理解しなくても、外向的なパフォーマンスをするだけで喜ばれることが非常に多いです。
例えば、交流会が始まる前に、横にいた知らない相手に、「まだ飲み物取ってきてないじゃないですか?何がいいですか?私自分の分取ってくるついでに、持ってきますよ!」という発言は、目に見える状況に対して、外向性を発揮しているだけですよね。
でも、これがきっかけで、相手が「じゃあ、私も一緒に取り行きます!」と反応すれば、並んで待っている間に、さらなる会話の機会が生まれるでしょう。
内向型がコミュニケーションに億劫になる原理
内向型の「内気」はどこからやってくるのか?
相手と初めて出会った時間帯というのは、とても非内向的です。だって、相手の内面をこちらは何も知らないし、自分の内面を相手が捉えているわけでもありません。
いきなり自己開示を促すような会話をぶつけ合うと、相手は違和感を覚え、警戒心を増幅させます。
だからこそ、内向型の人は、出会いの初期で、自分らしさを感じることができずに、「出会いの場に繰り出すのがしんどい」というマインドになるわけです。
初期の出会いに対するコントロール感の喪失こそが、「内向型=内気」という認知を作り出しているのです。
内向型にとってエスコートは無意味なもの!?
ビジネスやプライベートで、初対面の人に取りうるエスコートをイメージしてみて下さい。
ドアを開けて、先に通す。椅子を引いてあげる。メニューを取って渡してあげる。店員さんを自分が呼んであげる。天気の話などをして間を埋める。会計を先に済ませておく。荷物を持ってあげる。段差のある道で手を差し出す。
エスコートと呼ばれるものは、相手の独自の内面に関わず、「これは多くの人から感謝されるだろう」という認識をもとに、積極的に行っていく必要があります。
内向型からすれば、エスコートは、相手の内面を無視している行為にも受け取れるでしょう。
自分の勘を頼りに、どんどん親切のパンチを放っていくわけです。相手の本質を無視し、ステレオタイプな行動を真摯に放っていく、こういった行動は、内向型の人にとって無意味に感じるでしょう。
出会いの初期で行うエスコートは、自分らしさを捨てて、相手のためを想い、相手の本質とは関係ない、表層的なパフォーマンスで、相手を心地よくする行為です。
エスコートする際、大事なのは、自分の内向的な個性をまったく無視するということでしょう。
優れたコミュニケーターの条件
条件1:初期の外向力と後期の内向力を備えること
より多くのコミュニティで、より多くの人と、より多くの関係で、好意的な状況を作れることが、優れたコミュニケーターと言えます。本記事で、相手との関係を築くステップを既出しましたが、再度確認してみましょう。
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1、相手の警戒心を外す
2、相手に共感する
3、自己開示を促す
4、自己拡大を促す
上記のステップを見ると、ステップ1とステップが「外向的な力」が主軸になり、ステップ3とステップ4が「内向的な力」が必要になるイメージが湧きませんか?
また、すべてのステップにおいて、コミュニケーションの機会を用意することが必要になります。
そう考えると、優れたコミュニケーターの条件とは、「初期の外向力と後期の内向力を備えること」と言えます。
大事なポイントは、「初期の外向性と後期の内向性を備えること」ではないという点です。性質ではなく、能力ですね。
外向性が高く内向性が低い人でも、後天的に内向的な認知能力を身に付けば、優れたコミュニケーターになることができます。
内向性が高く外向性が低い人でも、会話のトレーニング、エスコートの場数を踏んで、外向力を上げれば、優れたコミュニケーターになることができます。
自分の社会的な価値を高めることで、自尊心が高くなれば、失敗に対するレジリエンスが高まり、外向的な物事へストレスを感じづらくなります。
条件2:思考とパフォーマンスを紐づける力を高めること
優れたコミュニケーターは、考えるだけでなく、動くことができます。至極当然ですよね。
自分の思考を単にアウトプットするのがパフォーマンスではありません。
自分の思考を伝えるには、相手の思考を引き出すにも、お互いの思考をすり合わせるにも、相手が心地良くなる形で、しかも、その心地良さが時間を追うごとにより大きくなるようにアウトプットしてこそ、パフォーマンスと呼べるでしょう。
また、敢えて考えずに、バカっぽく突き進むという、場合によって自身の思考量を調整して、パフォーマンスすることも、思考とパフォーマンスをうまく紐づける力と言えます。
内向的な人が、魅力的なギャップを見せるために、内向性を捨て外向的に演じることが、好意を得る決め手になることも有り得るのです。
内省の苦手な外向的な人が、相手の本質を分析できないことを認めていれば、相手からダイレクトに本音を引き出し、その言葉を信じるやり方が適切でしょう。相手がダイレクトに本音をいいやすいような雰囲気づくりが、自身の思考の個性を生かすパフォーマンスに繋がると言えるでしょう。
内向度の高さは対人関係の高さに直結する
内向度の高さはスキル習得の高さである
私たちの経験上、外向性が高く内向性が低い人が、後天的に内向的な認知能力を身に付けることは、とても労を要すると感じています。
表層的な内向性を深層へ向か合わせるには、俯瞰や深慮の訓練が必要です。しかし、内向型の人が内向性を削ぎ落す場合、単に自身の思考の数を減らしたり、よりシンプルに大胆に演じるだけで良いのです。
すべてのスキルを戦略的に身に付けようとすると、トライ&エラーで、自分の本質を幾度となくチェックする必要があります。要は、戦略的なスキルの習得という側面は、内向性が高い人ほど有利になるわけです。
優秀なコミュニケーターを育成することを考えると、私たちはどんなに内気で、会話に苦手意識を持っていた人でも、内向性が高い人を選抜するでしょう。
最初の印象が最高値になる外向型人間は多い
外向性が極めて高いからと言って、対人関係の達人になれるわけではありません。むしろ、外向型は、対人関係でトラブルメーカーになる人も少なくありません。
私たちは、他人との関わりにおいて、他人の本質を常に強く監視しているわけではありません。他人と仲良くなる際も、ある程度注意深く、ある程度気楽に、コミュニケーションを取っているでしょう。
他人を曖昧に捉えている出会いの初期のような段階で、外向型の人は好印象に映ります。
では、会っても会っても、第一印象を越えるような深い話や目新し個性が見受けられずに、話の内容もずっと表層的になってしまうとどうでしょうか?
会う度に飽きていきますよね。さらに言えば、後から欠点がどんどん目立っていくと、飽きることを超えて、嫌いになっていくでしょう。
会う度に、お互いの結束を深めて、相手を特別視していくためには、お互いが自己開示や自己拡大を促し合う存在である必要があるのです。
相手の内面を表に引き出す、内向的視野とコミュニケーションスキルのハイブリッドが必要になります。
外向性一辺倒だけで人に接すると、関係が深くなるについれて、相手の相手らしさを引き出せずに関係が終わるリスクが高まります。
内向性を使ったコミュニケーションこそが、相手に快感を与える
内向的コミュニケーションは、普段自分に使っている内省を、相手に置き換えると、
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相手の内面に理解した疑問や質問をぶつけたり、悩みを引き出したり、秘密や本音を打ち明けさせたり、ポジティブな将来性を妄想できたり、新たな可能性を提示できたり
することができます。すると、相手は心が良い刺激を受けながらも、幸福感と平静が保たれ、よりよい気分になります。その人の周りに、心地よい内向的なコミュニケーションを取れる人があなたしかいなければ、あなたはもうかなり特別な存在になるわけです。
脳科学的解釈をすれば、関係を重ねてからの内向的なコミュニケーションというのは、
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ドーパミンが高レベルに保たれ、オキシトシンが豊富に分泌され、セロトニンが高レベルで安定する行為
と、言えます。内向度の高さは対人関係の高さに直結するのです。
自分は内向的で、そのせいで、会話が苦手、周囲からあまり好かれないと悩んでいる人は、まだ、自身の内向性を生かし切れていないだけです。
これから、外向力をストックし、様々なコミュニケーション体験を積んで、より多くの知識を身に付けていくことで、内向性を生かす術が必ず腑に落ちてきます。
すると、外向的な物事で成功確率が上がります。外向的な物事に対する自己肯定感が高くなり、失敗が怖くなくなっていきます。あなたは繊細と大胆の両方をうまく扱えるようになります。
内向型の人は、コミュニケーションや対人関係の場で、多大な幸福と成功を得られます。まだ、そうでないのであれば、まだまだこれからで、人生は楽しみばかりですね。ぜひ、今回の記事も参考に、できることから一歩ずつ前進してみて下さい。